薬局では薬剤師が様々な事を患者さんに質問しています。

それは、「安全に、患者さんにお薬を使ってもらう」事を目的にしています。

確かに、「時間がかかる」、「面倒」といったご意見もあるかと思います。

けれど、お薬は使い方を間違えると大変危険なもの。正しく安全にお薬を使ってもらう事が出来るよう、様々なチェックをするお仕事が薬剤師なのです。

その根拠などについてご説明していますので、最後までお読みいただければ幸いです。

 

薬剤師が果たすべき役割について


illust1762まず、薬剤師法第二十五条の二に“薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため(中略)患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。”との文章が記載されています。

また、医薬品医療機器等法第九条の三にも“薬剤の適切な使用のため(中略)必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない”という内容が記載されています。

つまり、薬局で患者さんにお薬をお渡しする際にその内容について説明をし、適切に使用していただくようにする事は薬剤師の義務であるわけです。

また、薬剤師は医療従事者であり、リスボン宣言に記載された患者の権利を守るために行動しています。

リスボン宣言の1条aに「適切な医療を受ける権利を有する」とありますが、「適切な医療」として「医薬品の安全性」も重要な役割を果たしています。

 


 

 「薬局で症状を何度も聞かれる」理由

これには、法的理由と倫理的理由があります。
先に記載したように、薬剤師には「薬学的知見に基づく指導」を実施することが法律で記載されています。

また、適切な医療を提供するためには、お薬を安全に使用してもらわなければなりません。

「薬学的知見に基づく指導」を実施し、安全にお薬を使用してもらうためには様々な情報が必要になってきますが、その中の一つが病気とその処方の関係性です。

その処方が出された原因は何かを知らなければ、その処方が適切かを判断することは困難です。

しかし、患者さんに手渡される処方箋にはお薬の内容と保険上の情報程度しか記入されていません(最近は検査値を記入された処方箋もありますが、その程度です)。

したがって、患者さんのお話と処方箋を組み合わせて評価することで薬剤師は医師の処方意図を判断していきます。

病気と処方の関連性がわかれば、その処方が適切かどうかを判断することが可能になります。

たとえば、非常によく似た名前なのに、全く違う病気に使うお薬があります。医師から「処方が症状に対して適切でない可能性」や「処方された薬が間違っている可能性」を病気や症状を聞くことでチェックすることが可能になります。

医師も人間ですので、どんなに素晴らしい先生でも絶対に間違いが起こらないということはないと思います。

薬効の勘違い、類似名称、投与量の間違い等々、考えられる原因は無数にあります。

薬局で症状を聞くことで、間違いのダブルチェックも可能になります。

病院で聞かれた症状などを薬局で再度聞かれるのは、こういった理由があります。

 


 

薬局でアレルギー歴や併用薬など様々な情報を聞かれる理由

その処方箋の内容以外に、どういった病気を持っているのか、薬は何を使っているのか、どういった生活習慣を持っている人なのか、家族でどういった病気を経験している方がいるのかなども、患者さんが安全にお薬をお飲みいただくために必要な情報となっています。

たとえば、特定の食べ物と一緒に取ると効き目が大幅に変化する薬があります。

効かなくなってしまったり、逆に効きすぎて副作用が起きてしまったり、そういった事を避けるために様々な質問をしています。

喫煙によって効き目が大きく変化するお薬もあります。

全く違う効き目のお薬なのに、一方のお薬の効き目を変化させてしまうお薬もあります。

お薬を適切に使い、安全安心な生活を営んでいただくために、薬局での薬剤師は患者さんに様々な質問をさせていただいています。

確かに、“一度病院で説明したのになぜ薬局で同じ話をする必要があるのか”、“そんなことは聞かなくていいから早く薬を用意してほしい”というご意見があるのも承知しています。

“安全性の担保”は一見その効果が見えにくいものですが、医薬品で何か良くない作用が起こってからでは遅いのです。

お手数をおかけしたり、お時間を頂いていることは重々承知しておりますが、お薬を安全安心にお飲みいただくためのものと理解していただければ幸いです。

 


 

「あなたの薬局」 「あなたの薬剤師」

illust4085薬局で何度も話をしなければならないというご意見に対して、私はかかりつけ薬局を持っていただくことをお勧めします。

そして、最終的にはかかりつけ薬剤師を持っていただきたいと思っています。

自分が受け取った処方箋を常に同じ薬局に持っていく事で、病気や薬の記録を一元管理している薬局を作っておくと、慢性疾患であれば、毎度毎度どうして病院に行ったのかを質問されることは減ると思います。

薬局ではアレルギー歴なども確認していますので、繰り返しの質問が減るなど患者さんのお手間と時間を頂くことは減ることが多いと考えられます。

また、複数の病院に行っていた場合、ダブってしまったお薬をチェックしたりすることもあります。

薬剤服用歴が一元管理されることによる様々なメリットをご提案することができます。

 

かかりつけ薬局から一歩進んだ先にあるのがかかりつけ薬剤師です。

かかりつけ薬剤師のイメージとしては、主治医と類似するものだとご理解いただければと思います。

薬局において、決まった薬剤師が患者さん一人一人を担当するという体制を作ることで、より患者さん一人一人に必要な「薬学的知見に基づく指導」が提供できると考えられます。

 


 

最後に

薬局の薬剤師は、お薬を使った際の患者さんの安全を担保するための職業です。

医師の選択した薬剤が患者さんに不利益をもたらさずに、最大限の効果を発揮できるよう、医師と協力して薬物治療を行っているとご理解いただければ幸いです。